建築相談事例 5.請求された工事費が高いのですが?
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もう工事が終了し工事費の請求がされていますので、施工業者さんに「高い」と言っても値下げ交渉に応じてくれるかどうかは難しいかもしれません。
しかし、業者さんに工事費の請求内訳書を出してもらい検討する事は出来ます。 また、内訳明細書があれば、それをもとに専門家に現地を見てもらい意見を聞きそれをもとに交渉する余地はあると考えます。 一般的に工事終了後の工事費の値下げ交渉や、高いことを話題にしたところで工事費の変更が容易になるわけではありあません。 大事な事は工事に取りかかる前に工事見積書の提出を求め内訳明細書などをよく検討する事です。早期契約や、口頭で工事着手を認めるとトラブルになりやすいので気をつけましょう。 この例は点検商法といわれるクーリングオフが出来る特定商取引に関する法律に該当する指定商品に含まれる可能性が高いものです。 もし、契約しても8日以内に内容証明郵便、はがきを使った配達記または簡易書留などの文章で契約解除を通知するなど行えばクーリングオフが認められています。 また、契約書面などが渡されていないときはいつでもクーリングオフが出来るとされています。 |
【経過及び原因と対策】
高齢の女性からの相談です。 家の構造や、耐久性について知識は乏しく点検業者の提案を信用して工事をしてもらいました。 1階部分の床下の面積が19坪位ある木造の2階建てですが法外な請求額です。工事前の工事契約も行なわれず見積書も、図面等もありませんでした。 現地を調査したところ床下換気扇は3箇所新設、それ用の電気コンセント3箇所新設、防湿シートは床下全面に敷き詰められていました。 その結果からすると工事前に作成されるべき見積書は下記の様になると考えられます。 |
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この様に考えると、300万円の工事費請求書は疑問が残ります。 例え下記の総合計額の倍掛かったと考えても136万円程にしかなりません。 工事の内容についての説明や工事費の内訳明細書は必ずもらうようにして、分からない事は業者に聞くなり、専門家に相談してください。 そうすればこの様な工事費をかけずに他のやり方を検討する事が出来たかもしれません。 屋根、外壁、床下、耐震診断、温水器などのリフォームに関する飛込み営業が多くなっています。 中には詐欺に近い商法で高齢者などを狙った悪い業者も後をたちません。 その様な被害に遭わないためにも口頭で工事を進めることをしないで、内訳明細書付き見積書を是非もらいましょう。 スーパーマーケットのレシートにも品目、数量、単価、合計が示され、それらすべての品目の合計と消費税を合わせた支払い総合計が示されます。 これと同じように工事費の見積書も工事ごとに名称、仕様、数量、単位、単価、金額が表示されます。 この例は床下工事の簡単な例ですが、増改築や家を建てる場合も同じ事が言えます。 ただ、建築の見積書受領時点ではスーパーマーケットの様に現品がある訳でもなく、バーコードでの読み取りもありません。 工事が始まって材料が正しく納入されているか、工事の仕方が良いかをチェックする目が必要になります。 それが専門家による工事監理と言うものですが、工事費の見積書や内訳明細書が欠かせません。 |
(社)日本建築士事務所協会連合会の月刊誌「建築相談あ・ら・カルテ」
2003年5月号よりより抜粋しています。 |