建築相談事例 3.安心の設計は誰に相談すれば良い?
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設計と施工は本来別々に考える方が望ましいのです。
建築設計事務所は設計や監理などを主におこなっているので相談相手として最適です。 しかし、設計施工のハウスメーカー、工務店などでもこちらの質問に丁寧に答えてくれ、誠実に対応してくれる人のいるところであれば安心です。 相談相手としてはなるべく建築士さんを選び、自分が欲しいと思っているイメージや要望などを伝えます。 例えば省エネとかシックハウスに対応する家が欲しいと思っている時は自分が情報収集した知識で色々質問してみたりすることで相手の親切さや知識を知ることが出来ます。 また、手がけた家などを見せてもらったり、住んでいる人の話を聞いたり、近所の人の話を聞くなどすれば、選ぶ際の目安になるでしょう。 いい間取りを決めるポイントはいい設計者に巡り合うことです。 |
【経過及び原因と対策】
二十代後半の若い二人からの相談です。 建築について知識や経験はありません。 家を建てようと思った時、土地と資金の目途が立ったので、間取りを考え、建築しようという話になりました。 まずハウスメーカーの展示場や大手住宅販売会社、工務店などで話を聞き、次に建築設計事務所に来たのです。 二人は自分の目と耳で相談先として、どこを選び建築をしたらいいか確かめたかったのです。 家づくりの相談先とその特徴を挙げると次のようになります。 ・設計事務所 (1)設計や監理、建物調査、鑑定などを専業とする (2)施工会社等が併設し設計や監理、建物調査、鑑定を行っている ・工務店: 設計施工一括請負と監理 ・ハウスメーカー:設計施工一括請負と監理 ・不動産販売業:建売、土地などの販売、注文住宅の設計施工一括請負と監理など 設計者(建築設計事務所)は施工に先立って決めるべきです。 契約のうえでもハウスメーカーや工務店に住宅建設を頼んだ時、特に設計は依頼していないと思っている人も多いようですが、設計契約、監理契約が成り立っていることは役所に出す確認申請の記載内容を見れば分かります。 つまり、建築主名、設計社名、監理者名は施工前に必ず決めて記入し(施工者名は着工前までに届け出ても良い)、間取りも安心して納得の出来るものを作っておかなければならないのです。 設計者は単なる図面をつくるだけでなく経験や技術などを持った相談相手です。 図面を書くだけならばそんなに技術も能力も必要ありませんが、判断力や説明能力をもち要望や期待に応える為にはそれなりの能力が必要なのです。 もし、設計施工で依頼する場合でもそこに設計者は必ずいるので、その人と十分話し合うことが必要です。 |
設計者(建築設計事務所)を選ぶ際のポイントをいくつか挙げておきます。
【好ましい場合】 ・いろいろなことをわかりやすく説明してくれる(説明能力) ・自分がイメージしているものと方向が同じ(相性) ・考え方や趣味などが一致する(相性) ・質問の結果が的確に返ってくる(知識や判断能力) ・話してみて感じが良い(相性) ・自分の設計した建物を見せてよく説明してくれる(経過と経歴) ・建築士の資格がある(資格) 【避けた方が良い場合】 ・こちらの言い分を丸呑みにして提案がない(知識や創造性) ・設計料が無料か以上に低い(設計者の独立性、下請け的仕事に依存) ・図面作成や見積だけをしている(能力) ・設計した建物を説明してくれなかったり見せてくれない(経験) ・設計した家の一棟分の図面が新聞紙1ページ大(A2判)で3枚か4枚位のものが多い(仕事の内容) ・建築中の現場の写真や報告書類などがない(仕事の内容) ・施工者がつれてきた設計者(設計者の独立性と施工者の関係) などが考えられます。 もし、少しでも合わないと感じたら別の人を当たってみる方が良いでしょう。 完成までに多方面にわたって相談したり判断しなければならないことがたくさんでてきますので自分にふさわしいパートナーを探すことが必要です。 依頼者と意見や考えがうまくかみ合わない時は無理に進めても、互いに満足した結果が得られないことが多いのです。 気に入った設計者(建築設計事務所)が見つからない場合は各都道府県にある建築士事務所協会に問い合わせても良いでしょう。 |
(社)日本建築士事務所協会連合会の月刊誌「建築相談あ・ら・カルテ」
2003年3月号よりより抜粋しています。 |