建築相談事例 2.買った家の振動や揺れは欠陥か?
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振動の伝わりだけ、あるいは石ころだらけの地盤というだけでは一概に欠陥住宅とは言えません。
振動や揺れは前の道路や敷地、基礎、家の構造などによっても影響に違いがあるので、振動を起こしている原因が道にあるのか、居住家屋にあるのかを調べなければなりません。 ある事例では前面道路に段差があり、この部分をトラックなどの車が高速で走る度にひどい振動が家まで伝わっていましたが、その部分を市役所の道路課にて補修してもらったところ、振動が止まったという事もあります。 また別の例では、家の構造を調べてみたら筋交い、金物の不足、基礎の亀裂などが発見され、これらが家の振動や揺れを大きくしていたと言う事もあります。 元の敷地が田んぼだったのに畑と説明した不動産仲介業者は業務に関する禁止事項で定められている重要な事項について「故意に事実を告げず又は不実のことを告げる行為(宅地建物取引業法47条)」に抵触する恐れがある他、「故意又は過失によって生じた損害を賠償する責任(民法709条)」を問われる場合もあります。 |
【経過及び原因と対策】
音や振動については感じ方が人によって差があり、難しい問題です。 振動が受忍限度を超えているかという問題と、道路の構造、家の構造、敷地地盤の問題によるものかは別々に考える必要があります。 この家の現地調査では、相談者の感じている振動や揺れのほうが隣近所の住人が感じているものより大きいことがわかりました。 建物について調べると、セメント系外壁サイディングに亀裂が見られ、基礎にも亀裂が見られました。 また、筋交いも各方向で不足していました。 筋交い端部の取り付け方法も釘打ちだけでした。 そのため各方向の筋交いの不足分を加え端部を金物で緊結し、亀裂基礎部分はコンクリート部分を一部壊し鉄筋を入れ増し打ちを行なうなどの補修工事を行なったところ、振動は少なく2階の揺れもなくなりました。 建売住宅の販売形式には、適法な建築済、あるいは建築確認済証を受けた販売と、違法な「青田売り」と呼ばれるものがあります。 建築済みあるいは建築確認済証の場合は、「重説 ※」にて土地及び建物の形状、構造等について添付図面などを交付する事により売買等の業務が出来ますが「青田売り」の場合は、建築確認や都市計画法などの許可を受ける前に行なう販売行為です。 宅地建物取引業法では許認可を受けた後でなければ売買その他の業務を行なう事を禁じています(宅地建物取引業法36条)。 従ってこのような「青田売り」は完成後の様子がはっきりと説明できず、「重説 ※」も交付出来ない為、売買等の業務が出来ないのです。 この様なものはトラブルになりますので絶対購入してはなりません。 ※「重説」とは? 住宅建物等に関する権利や種類、法的な制限などを内容とすもの |
建売住宅を購入する場合のチェックポイントは
1.建築中のものは確認済証、図面、仕様書を確かめる。 2.それらをもとに建築現場に行き基礎・構造体・設備等をこまめにチェックする。 3.完成後の購入であれば、役所の発行する検査済証を確認したり、専門家と一緒に現物をチェックしてもらったりする事です。 4.性能表示制度による等級を取得している場合は、設計段階では、設計住宅性能評価書、完成段階では建設住宅性能評価書が発行されていますので確認してください。 もし、技術的に判らない所があれば、建築士事務所等に相談したり、途中の検査や監理をしてもらったりする事で欠陥住宅に巻き込まれるのを防ぐ事が出来ます。 また不動産を購入、または申込を業者の事務所以外で行なった場合等は8日以内に撤回できるクーリングオフ制度もありますが、除外規定もありますので、よく確認しておきましょう。 |
(社)日本建築士事務所協会連合会の月刊誌「建築相談あ・ら・カルテ」
2003年2月号よりより抜粋しています。 |